アウトドア日和

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駅から歩いて乾徳山へ

駅から歩いて乾徳山へ

立冬を過ぎて寒さが急に増してきた11月後半、絶好のアウトドア日和に誘われて出かけたのが、今年最後の2,000m級の山となるかもしれない奥秩父の乾徳山(けんとくさん:△2,031m)です。この山は、近くにある大菩薩嶺甲武信ヶ岳瑞籬山金峰山ほどの人気はないかもしれませんが由緒ある山岳信仰の山で、最近放映されたNHKの旅番組でも取り上げられています。調べてみると、最寄り駅の中央線の塩山駅を8:30に出る西沢渓谷行きのバスを使えば、余裕で日帰りも可能だと思われました。

乗り換え案内のサイトで塩山駅に最も早く着く電車を検索して都内を出発したところ、到着した時間は検索結果とはだいぶ食い違いがあります。遅れたのではなくて、早すぎたのです。予定では7時半頃に到着するはずなのに、まだ6時半前です。あとで気づいたことですが、この検索では途中の高尾での乗り換えのための待ち時間を1時間も見込んでいたのでした。しかし、実際の電車運行時間は中野(4:25)-高尾(5:14)-大月(5:53)-塩山(6:21)です。なんと、登山口に向かう始発バスまで2時間以上待つことになります。
塩山駅は何度か利用しているので、駅近くには早朝でも営業しているファストフード店やファミレスがないことはわかっています。念のため駅の周辺を歩いてみますが、やはり寒さを避けてバスを待っていられる場所は見つかりません。しかたなく、バスルートに沿って乾徳山登山口を目指して歩き始めます。体を動かしていれば体は温まるし、バスには途中のバス停から乗り込めばいいわけで、バス代も節約できます。以前に甲武信ヶ岳の登山口まで自転車で行ったときに通った道なので、ある程度は土地勘があります。県道38号線を北上し、国道140号線(雁坂みち)に突き当たれば、あとは一本道です。
登山口までの距離は10kmくらいと見積もっていて、別の山でもこれくらいの距離の林道を歩くことはあります。むしろ、単調な林道と違って街中を歩くのは気分が紛れるものがいろいろあります。通りには「信玄のみち」という名前も付けられています。南には富士山が見え、道路沿いではブドウ畑、干し柿を吊した民家、立派なお寺などが目に入ってきます。ところどころにコンビニもあったりするので、登山口までの長いアプローチを歩くのが苦にならない人にはおすすめです。ただし、牧丘町の市街地手前で国道140号線をそのまま進んでしまったのは失敗でした。この先にある長いトンネルでは風景が見えないだけでなく、排気ガスが溜まった中を歩かなければならず、さらに少し遠回りになっているようです。本来は、市街地に入る道(昭和シェルのガソリンスタンドのところから延びる県道213号線)を選ぶべきでした(自転車で来たときはこちらを選択。バスのルートもこちら)。
早朝の塩山駅に到着乾徳山登山口まで歩く朝日を浴びる富士山
早朝の塩山駅に到着乾徳山登山口まで歩く朝日を浴びる富士山
向嶽寺を通過ブドウ畑の横を歩くトンネルの中を歩く
向嶽寺を通過ブドウ畑の横を歩くトンネルの中を歩く

国道140号線は次第に道路の勾配が増してきます。歩き始めて1時間半ほどになる8時過ぎ、開店準備中の果物の直売所で登山口までの距離を訪ねると、徒歩ならあと30分くらいかかるとのこと。やがて右手に笛吹川が現れて山間部らしい雰囲気が出てきます。歩き始めてちょうど2時間、ようやく乾徳山入口という大きな看板のある左折ポイントに到着します。その下にある道標を見ると、登山口まであと3kmとあります。やれやれと思って、さらに勾配を増してくる舗装路を徳和集落へ向かって進みます。時刻はちょうど9時、登山口まであと1kmくらいとなったところで、もともと乗る予定だったバスに追い越されます。結局、バスに乗ったほうが早く着いたことになりますが、それなりに面白い13kmほどのウォーキングでした。
笛吹川沿いを歩く乾徳山入口に到着バスに追い越される
笛吹川沿いを歩く乾徳山入口に到着バスに追い越される

登山口のバス停に着くと、すでに体が温まっているので上下のウインドブレーカーを脱いで出発します。バス停の横の広場には無料駐車場(標高830m)もあって、すでにマイカーで到着しているハイカーもいるようですが、すでに出発したあとらしく人影はまったく見あたりません。ここから頂上までは、ほとんど直登で1,200m登ります。民家の間の舗装路を進むと、途中にはヤマメかアユの養魚場があります。
頂上へのルートは2つあって、今回は往復にメインルートと思われる国師ヶ原月見岩を経由したルートをたどります。案内板によると標準コースタイムは登りが3時間45分、下りが2時間40分です。
登山口へヤマメの養殖場乾徳山鳥瞰図
登山口へヤマメの養殖場乾徳山鳥瞰図

実際の登山口は、徳和渓谷との分岐を山側に登っていきます。急登を覚悟していましたが、傾斜はそれほどでもありません。その代わりにさまざまな形の大小の石が登山道に転がっていてあまり歩きやすい道ではありません。黙々と登っていくと、やがて熊鈴の音がどこからともなく聞こえてきて次第にその音が大きくなったと思ったら、前方に先行のハイカーの姿が見えます。この先、次々にハイカーに追いつくようになります。
登山口に入る小石や岩の多い登山道先行のハイカーに追いつく
登山口に入る小石や岩の多い登山道先行のハイカーに追いつく

錦晶水という水場の周辺は日当たりがよく平坦な休憩場所となっていて、休んでいるハイカーもいます。こちらは水を手にすくって一口飲んだだけで先へ進みます。国師ヶ原に着くと、左手には今は閉鎖されている高原ヒュッテがあります。ここからは、目指す乾徳山の頂上もはっきりと見えます。意外に近いように思えますが、道標には登りの所要時間が1時間とあります。
錦晶水の水場高原ヒュッテ乾徳山の頂上へ
錦晶水の水場高原ヒュッテ乾徳山の頂上へ

傾斜のゆるやかな白樺の林は気持ちよく、いくつかある奇岩も風景のよいアクセントになっています。木々がまばらになったところでは登山道の両脇に茅が一面に広がり、これもまたいい雰囲気です。ここで振り返ると、富士山や南アルプスが青空の下に一望できます。
白樺の林茅の原南に富士山を望む
白樺の林茅の原南に富士山を望む

山頂に近づくにつれて岩場が増え、ソロやペア、グループのハイカーの数もいきなり増えたように感じます。頂上直下の20mくらいある鳳岩(おおとりいわ)と呼ばれる岩場では迂回路もありますが、この岩場を目当てにここに来る人もいるくらいなので自分も鎖に取りつきます。この日は使い古しの軽量トレランシューズを履いていたので、細い岩の割れ目にも爪先がうまく入ってくれて腕の力をあまり使わずに登っていけます。ここでは普通のトレッキングシューズよりも有利ではないかと思います。
乾徳山の岩場1乾徳山の岩場2乾徳山の岩場3
乾徳山の岩場1乾徳山の岩場2乾徳山の岩場3

乾徳山の頂上はそれほど広くはなく岩だらけなので、休憩をせずに集団が登って来る前にいち早く下山することにします。登ってきた鎖場は渋滞していそうなので、ハシゴのかかっている別ルートで岩場を降りていきます。時刻は正午をわずかに過ぎたところなので、下山には早い時間であるせいか、前後に人の姿は見えません。しかし、小走りで岩だらけの登山道を進んでいくと、先行している下山中のハイカーを何人か追い越すようになります。すると、意外にあっけなく登山口まで降りてきてしまいます。頂上からの所要時間は1時間20分ほどで、標準コースタイムの半分です。登山口からバス停までは十分に走れる道なので、ジョギングペースでバス停のある徳和集落に向かいます。
ここで大きな勘違いが1つ。バス停に着いたのは1時27分ですが、バス停の時刻表を見ると3時半ごろまで便がありません。仕方なく公園のトイレに行ったりベンチで休んだりしますが、実はこのバス停は山梨市営バスのもので、近くにはもう1つ山梨貸切自動車という会社のバス停があったのでした。そのことに気づいたときはもう後の祭りで、1時38分にバスが出たばかりでした。さすがに徒歩で塩山駅まで行く気力はなかったので、結局1時間半ほど立ったままバスを待ち(ここにはベンチがなかった)、帰宅の途につきました。もし待ち時間が3時間くらいあったら、たぶん再び駅まで歩いていたと思います。
乾徳山の頂上登山道を小走りで下るバス停前の公園に到着
乾徳山の頂上登山道を小走りで下るバス停前の公園に到着


● 行程◇ アプローチ ◇
塩山駅(6:45)-向嶽寺(6:55)-塩山高校(7:10)-天王宿(7:14)-恵林寺(7:19)-牧丘トンネル(7:46)-塩原(8:25)-一之橋(8:31)-馬込(8:41)-乾徳山入口(8:44)-乾徳山登山口バス停(9:10)-乾徳山登山口(9:37)
◇ 登り ◇
乾徳山登山口(9:37)-銀晶水(10:00)-駒止(10:13)-錦晶水(10:36)-国師ヶ原(10:43)-月見岩(11:05)-扇平(11:09)-髭剃岩(11:31)-鳳岩(11:50)-乾徳山頂上(11:54)
◇ 下り ◇
乾徳山頂上(11:55)-月見岩(12:30)-国師ヶ原(12:41)-錦晶水(12:45)-駒止(12:58)-銀晶水(13:04)-乾徳山登山口(13:16)-乾徳山登山口バス停(13:27)
● 距離22.1km
● 獲得標高上り:1614m/下り:1191m
● 感想乾徳山は、登山道は短いものの変化に富んだ面白い山で、秩父の両神山と雰囲気が似ていて、奇岩がウリの1つということで神奈川の石老山を思わせるところもあります。塩山の駅から徒歩でもバスを利用しても十分日帰りができることがわかりましたが、やはり自転車を使うのが便利かと思います。次に来るときは、輪行にしようと思います。

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高尾外周(大外回り)8時間半

高尾外周(大外回り)
今年はこれまで奥多摩へは7回ほど出かけ、登ってみたいルートもネタ切れ気味です。そこで、久々に近場の高尾山に出かけることにしました。と言っても、高尾山に登るわけでもなければ、トレランのメッカである奥高尾縦走路を走るわけでもありません。数年前に一度だけ通ったことのある高尾の外周コースを、今度は逆回りしてみることにします。この外周コースのうち、北高尾のルートには渓流沿いの小下沢(こげさわ)林道がよく使われているようですが、せっかくならできるだけ大回りをしようということで、北高尾山稜南高尾山稜をつなげた全長約26kmのコースを考えました。

11月中旬の朝5時過ぎ、スタート地点の高尾駅北口に降り立つとあたりはまだまっ暗ですが、高尾街道は街灯が明るく、車もそれなりに走っています。さらに駅からジョギングペースで進んでいると、途中で路線バスに追い越されます。驚いたことに、このあたりの近所の人なのか、散歩やジョギングをしている人もちらほら見かけます。
中央自動車道の高架をくぐった先で八王子城址方面へ向かうと、少しずつ空が白み始めますが、八王子城山へ向かう山道の登り始めにはヘッドランプが必要です。急坂を30分くらい登ってから道が平坦になったあたりで、ご来光を迎えます。八王子神社も朝日を浴びています。頂上の八王子城の本丸跡に登ると方角を示す何の標識もないので少しとまどいますが、1つの道を選んで下り、公衆トイレの近くにあった高尾山・陣馬山への標識、そして詰城という標識が示す方向に進みます。
八王子城山からの朝焼け八王子神社高尾山・陣馬山方面へ
八王子城山からの朝焼け八王子神社高尾山・陣馬山方面へ

この先からは普通の登山道が続き、道標以外の人工物はありません。最初の大きな分岐点の富士見台には7時ごろに到着します。その名の通り、木々の間から富士山の姿が眺められますが、荒井バス停方面へ少し登ったところでは木々に邪魔されずに富士山を見ることができます。その手前、左側にはこれから行く小仏城山が見えます。再び分岐に戻ると、手書きの標識の下から延びる細い道を堂所山(どうどころやま)方面へ向かいます。このあたりは標高が低いせいなのか、紅葉はあまり見られませんが、尾根道にはもう枯葉がずいぶん落ちています。
富士見台の分岐富士見台近くから見た富士山堂所山へ
富士見台の分岐富士見台近くから見た富士山堂所山へ

高尾山は自然が豊富で、よく「東京とはとても思えない」と形容されますが、この北高尾山稜は「とても高尾とは思えない」ほどのハードな登山道です。危険箇所も、とんでもない急登もないものの、細かいアップダウンが何度も繰り返し、走り出すとすぐに次の登りがやってきてペースが落ち、体力も奪います。あきらめを通り越して、もう笑うしかない心理状態になります。結局、地道にゆっくりと進むのが体力を温存する方法だと気づきます。たぶん、ここは山岳耐久系のレースのためなら、よい練習コースになることでしょう。木々にさえぎられて尾根道からの眺望がほとんどなく、高尾~陣馬コースにあるような茶屋もないので、一般のハイカーの姿はほとんどありません。この日、北高尾山稜上ですれ違ったハイカーはわずか1人です。この尾根からのエスケープルートとしては、小下沢林道へ下る道が何本か通っているようです。
高尾外周標高図
次の分岐点の関場峠は意外に早く通過しますが、ここから堂所山までは思ったより時間がかかります。堂所山山頂からは陣馬山、そしてさらにその先の山々が見渡せます。ここで、昼食用のアルファ米に水を注ぎ、移動しながら出来上がりを待つことにします。
関場峠を通過堂所山へ到着堂所山からの眺望
関場峠を通過堂所山へ到着堂所山からの眺望

堂所山から少し下ると、お馴染みの奥高尾縦走路と合流してほっと息がつけます。これまでの小石の多かった道に比べると多くのハイカーに踏みならされてアスファルト道のようにフラットな部分もあります。さすがにここでは他のハイカーとも次々にすれ違うようになります。しかし、ここまででかなり体力を消耗してしまったので軽快に走ることはできず、早歩き程度のスピードで高尾山方面へ向かいます。
10時過ぎに通過した景信山では、ようやく紅葉らしい紅葉を目にします。南西に富士山、東に関東平野を見渡せるので、茶屋は閉まっているにもかかわらずハイカーで賑わっています。これから進むコースに目をやると、パラボラアンテナが目印の小仏城山が見えますが、周囲の山々の色付きは奥多摩に比べると今ひとつという感じです。
フラットで走りやすい縦走路景信山の紅葉景信山から小仏城山を望む
フラットで走りやすい縦走路景信山の紅葉景信山から小仏城山を望む

小仏城山に11時前に着くと、アルファ米が出来上がっているはずなのでランチタイムにします。用意してきたのは「おとなのふりかけ」2種類。これに城山茶屋の「なめこ汁」(250円)を加えます。そこに現れたのが、小仏城山の2匹の名物猫です(キジがメインの白キジ猫と黒猫)。この猫たちの期待に応えて、こんなこともあるかと思って持参してきたキャットフードをあげることにします。
城山茶屋でランチ休憩猫のおねだりごちそうさま
城山茶屋でランチ休憩猫のおねだりごちそうさま

ここからコース後半に入りますが、縦走路をこのまま高尾山に進めば最短の距離と時間で帰ることができます。しかし、栄養を補給したことだし、なんとかなるだろうと考えて予定通り南高尾山稜に向かいます。小仏城山からはまず大垂水峠までの1.8kmを下りますが、数年前に逆向きで通ったのに、ルートの特徴はほとんど覚えていません。峠までの道は短く、小さな沢もあったりして意外に変化に富んでいます。
国道20号線(甲州街道)を歩道橋で横断すると再び山道に入ります。あとはゴールまで一気に進みたいところですが、南高尾山稜もアップダウンが連続して体力をさらに奪います。当然、巻き道がある箇所はできるだけそちらを通ることにします。
昼前後という時間のせいもあると思いますが、北高尾山稜に比べるとハイカーの数はずいぶん多くなってきます。特に中高年の女性のソロやグループが目立ちます。フニクリ・フニクラを大声で歌って歩いてくる人や、日当たりのよい山稜南面のベンチで津久井湖と富士山を眺めながらランチ中の人もいます。このコース上には道標が多く立っていて細かく距離も表示されていますが、次第に脚が重く感じられてきて、なかなかその数字が減っている感じがしません。ゴールの高尾山口駅まであと2~3kmのところが、その数倍にも感じられます。この時期としてはやや高めの気温と空気の乾燥、直射日光、運動による発汗などのために喉もかなり渇いていますが、すでにペットボトルの水分はなくなっています。
大垂水峠近くの沢大垂水峠を横断津久井湖と富士山
大垂水峠近くの沢大垂水峠を横断津久井湖と富士山

南高尾山稜のコースは三沢峠から先は北に方向を転じます。城山湖の横から草戸山、さらに草戸峠へ向かうと、今度は北西(左側)に見える山の頂上付近に人工物が確認できるので、これが高尾山のようです。次第に町の喧噪が聞こえてきて、四辻の分岐を下ると、5分もかからずに民家脇の登山口に出ます。そのすぐ先は甲州街道の高尾山入口交差点で、土産物屋の前の行楽客を横目に高尾山口駅にゴールしたのは2時前のことでした。
城山湖の横を通過草戸峠から見た高尾山高尾山口駅にゴール
城山湖の横を通過草戸峠から見た高尾山高尾山口駅にゴール

● 行程高尾駅北口(5:18)-城山大橋交差点(5:31)-八王子霊園前(5:36)-八王子城址入口(5:41)-金子丸(6:02)-八合目(9:08)-九合目(6:15)-八王子神社(6:20)-八王子城本丸跡(6:22)-詰の城(6:49)-富士見台(7:04)-杉沢の頭(7:16)-狐塚峠(7:54)-杉の丸(8:14)-黒ドッケ(8:22)-大嵐山(8:38)-三本松山(8:50)-関場峠(9:01)-堂所山(9:28)-景信山(10:08)-小仏峠(10:26)-城山茶屋(10:44/11:03)-大垂水峠(11:28)-大洞山(11:49)-三沢峠(12:43)-榎窪山(12:46)-草戸山(13:01)-草戸峠(13:09)-四辻(13:46)-高尾山口駅(13:53)
● 所要時間8時間35分
● 距離25.8km
● 獲得標高上り 1290m/下り 1270m
● 感想低山をつないだだけですが、このアップダウンの多い周回コースは精神的・肉体的な忍耐力を必要とします。登るのと同じくらい下っているはずですが、なぜか登りばかりだったような印象が残りました。今回とは反対向きの時計回りにしたほうが楽なのかもしれません。

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山の上で『アルピニズムと死』を読む

山の上で『アルピニズムと死』を読む

11月に入ったばかりの三連休、不順な天気の予報が直前になって晴れ模様に変わり、あわてて実行したのが雲取山へのテント泊山行です。
今回はトレイルランニングではなく、基本に帰って普通の山登りとなります。登りのルートは定番の鴨沢のバス停からのスタートですが、下山ルートは今まで通ったことのない三条の湯経由にします。テント場は、石尾根上にあって開放感のある奥多摩小屋に決めました。この時期だと昼夜の寒暖差が大きいので装備の選択は微妙ですが、軽量化のためにテントはアライの1人用ツェルト「スーパーライト・ツェルト1」を使います。その代わり、シュラフは冬期の2,000m級の山に対応したモンベルのスーパースパイラル バロウバッグ #2(最低使用可能温度-15℃)にゴアテックスのシュラフカバー、コットンのインナーシーツを加えて夜間の冷え込みに備えます。これで寒ければアルミのエマージェンシーシートも併用するつもりです。
問題は、シュラフがダウンではなく化繊なので重さも容積も増えてしまうことです。厚手の銀マットも、かなり嵩張ります。冬のテント泊装備を運べるサイズの山用ザックは持っていないので、カヌー運搬用の大型ザック(80リットルくらい?)で代用することにします。


[1日目] 鴨沢~奥多摩小屋テント場

早朝、都内からの始発電車で出発し、奥多摩駅前のバス停で7時発のバスに乗り込みます。最初は数名だった乗客は、その後に到着した電車から降りてきたハイカーたちで座席はすぐに埋まり、6~7名は立ったままでバスが出発します。やはり、みな考えていることは同じようで、予想外に好天の連休になったので、ここぞとばかりに出かけてきたのでしょう。
今回の山行で背負うザックの重さは9.35kg(うち寝袋は1.5kg)で、テント泊としては軽量なほうかと思いますが、普段トレランで背負っているザックの倍以上あります。また本来はカヌーを運ぶためのザックは、ウェストベルトとチェストベルトが付いているものの、あくまで短距離の運搬用なのでバランスが今ひとつです。そんなわけで、鴨沢のバス停から小袖乗越の登山口までは足馴らしのつもりでのんびりと歩きます。
山道に入ると、日帰りか山小屋泊まりの軽装のハイカーは足取りも軽く先行していきますが、同じテント泊のハイカーとはそうペースが変わりません。気温は意外に高めなので、ウインドブレーカーは早めに脱いで、上は長袖Tシャツ1枚になりますが、それでも汗が全身から吹き出してきます。今日の目的地の奥多摩小屋までのほぼ半分のところにある堂所はスタートから1時間50分ほどで通過します。ここまでの標準コースタイムは2時間5分なので、悪いペースではありません。先行していた軽装のハイカーの何人かは途中で休んでいたりするので、先に行かせてもらいます。
最初の分岐ではブナ坂へ向かう巻き道ではなく、七ツ石小屋へ向かいます。小屋では数分休んだだけで七ツ石山へ向かうつもりでしたが、うっかりと巻き道へ降りてしまいます。体力を温存できたと考え直して、そのまま先に進みます。
鴨沢バス停をスタートテント泊装備のハイカー石尾根を進む
鴨沢バス停をスタートテント泊装備のハイカー石尾根を進む

朝には日差しがあったものの、次第に空に雲が広がってきます。今歩いている石尾根から南西の方向に見える富士山の頂上付近にも笠雲がかかっています。ちょっとした登りに差し掛かったとき、大学のワンダーフォーゲル部だというグループに追いつきます。みな大きなザックを背負っているので、下山するハイカーからは「今日は大宴会だね」と声をかけられています。
ようやく五十人平のテント場に到着すると、まだテントは数えるほどしか張られていません。さっそく奥多摩小屋に行き幕営料の500円を支払うと、適当な設営場所を探します。
笠雲のかかった富士山大学のワンダーフォーゲル部奥多摩小屋で手続き
笠雲のかかった富士山大学のワンダーフォーゲル部奥多摩小屋で手続き

雨が降るとの天気予報はなかったものの、心配なのは稜線上を吹き抜ける風です。自立式ではないツェルトはペグが命なので、できるだけ木々の間のペグが深く刺さりそうな場所を選びます。本来なら稜線から一段低いところが理想的なのですが、そうした安全なところはすでにテントで埋まっています。念のため、打ち込んだペグの上に石を置き、グランドシートをツェルトの裾に重ねてその上にできるだけ大きい石を置いておきます。地面はわずかに傾斜があるものの、気になるほどではありません。
次に、近くの水場へ降りていき、2リットルほどの水を調達してきます。朝から何も食べていなかったので、アルファ米のドライカレーに水を入れ、出来上がりまで1時間ほど待つことにします。今回は軽量化のためにストーブやコッヘルを持参しなかったので、温かいものは食べられません。
ツェルトを設営林の中のツェルトアルファ米の食事
ツェルトを設営林の中のツェルトアルファ米の食事

食事が済んでも時間はまだ午後1時を過ぎたところですが、この日は雲取山の頂上には登らないので何もすることがありません。こんな場合に備えて持参してきた山野井泰史著『アルピニズムと死-僕が登り続けてこられた理由』をツェルトの中で読むことにします。内容は著者の山歴の回想録のような感じで、最後のまとめに「自分が死ななかったのは恐怖心が強く、自分の能力をよく把握していたから」と語っています。
そうこうしているうちに周囲にテントが増えてきて、稜線上のカラマツ林には申し合わせたように緑と黄色のテントが並びます。ここのテント場は広い登山道を挟むように設けられているため、一見するとテントの展示場のようになります。ツェルトの中に寝ころんでいると、ここを通過するハイカーたちのコメントがいろいろと聞こえてきます。1つだけしかないツェルトが珍しいのか、「あっ、ツェルトだ。これなら君にも背負えるよ…でも設営が面倒だけどね--あら、ストックで立っているのね」というアベックらしい声。「これテントじゃなくツェルト、簡易テントだよ--知ってるよ。とっても軽いんでしょ」という親子らしい声などなど。そのうち、いつの間にか眠ってしまったらしく、目をさますと外は薄暗くなっています。さっそく用意してきたランタン(ハンディライトの先端に白いペットボトルを装着したもの)を灯すと、読書を続けるのにちょうどよい明るさです。
山で山の本を読む次々に設営されるテント自作のランタン
山で山の本を読む次々に設営されるテント自作のランタン

天気図 (2014.11.3 3:00 a.m.)しかし、夜が更けるにしたがって風が強くなってきて、読書どころではなくなります。時折りジェット機が上空を通過するような轟音とともに、周囲の木々が激しく揺れる音、葉の付いた小枝が落ちてきてツェルトに当たる音が聞こえます。ちょっとうるさいので、山行にいつも持参している耳栓を使います(本来は山小屋でのイビキ対策用)。また、強風を受けたツェルトがバタバタという音を立て、布地が体を包んでいる寝袋に押しつけられます。いつペグが飛んで、あるいはストックが倒れてしまうか心配になるくらいで、何度か手探りでストックの固定具合を調べます。風の強さも一定ではなく、強・弱・弱・弱というリズムが次第に、強・弱・弱・強・強・強というリズムになったりもします。これはテント泊ではなく、まるでビバークだなと思っているとき、ふとツェルトの生地越しに何かの明かりが灯っているのに気づきます。首だけ出して空を見上げると明るい月が出ていて、澄んだ夜空にはオリオン座も確認できます。幸い、気温はそれほど低くないようで、寝袋は十分にその性能を発揮してくれています。風の攻撃で朝まで眠れないことを覚悟し、体だけ休めればよいと思って再び横になったら、いつの間にか眠ってしまい短い夢も見たようです。


[2日目] 奥多摩小屋テント場~三条の湯~鴨沢

まだ暗いうちに意識がはっきりしてくると、この日の予定を考えます。強風が収まらず疲れが取れていなければ、雲取山へは登らず鴨沢に引き返すのも一案です。5時半過ぎに空が明るくなり、外に出て体を伸ばしてみるとそれほど疲れは感じず、富士山もはっきり見えて前日よりも天気がよさそうです。何よりも風がほぼ収まってくれています。大きさに余裕のあるザックに装備を適当に詰め込むと、予定通りに雲取山へ向かうことにします。小雲取山への登りの途中でカラマツ林越しに太陽が雲の上に顔を出します。雲取山に近づくと、ご来光を見てきたと思われるハイカーと次々とすれ違います。
早朝の富士山テント場を撤収雲取山の頂上付近
早朝の富士山テント場を撤収雲取山の頂上付近

雲取山では避難小屋近くのトイレを利用しただけで、すぐに三条ダルミへ向かう急坂を下ります。ここから三条の湯方面へのルートは下り基調で、東南に開けた日当たりのよい道がしばらく続きます。やがて前方に同じく下山中のハイカーが見えてきて間もなく追いつき、道を譲ってもらいます。また、8時を過ぎたあたりから、下から登ってくるハイカーの姿が増えてきて、何度か道を譲ります。
高度を下げるにしたがって紅葉も再び鮮やかになり、三条の湯の周辺は今が一番の見頃ではないかと思われます。三条の湯の施設前を8時半過ぎに通過。日帰り入浴は10時からとウェブページに書いてあったので休憩はあきらめ、下山を続けます。ここのキャンプ場はそれほど広くはないようですが、渓流と木々に囲まれていい雰囲気です。谷間にあるので、風の影響もたぶん少ないでしょう。
快適な三条の湯ルート下山中のハイカー三条の湯を通過
快適な三条の湯ルート下山中のハイカー三条の湯を通過

三条の湯から下山道として使う後山林道の入口には、狭いながらよく整備されている道を20分ほど歩いて到着します。時間はちょうど9時で、ここから麓のバス停まで普通に歩いて2時間かかるということなので、急ぎ足ならばお祭バス停を10:48に出る奥多摩駅行きのバスに間に合うかもしれません。
後山林道は後山川に沿って10kmほど続いていて、今が紅葉の最盛期のようです。前後に人影はまったくないので、この風景を独り占めにできるなんてずいぶん贅沢だなと思いながら歩いていると、女性の二人連れのハイカーとすれ違います。その後もテント泊装備のソロハイカーや軽装のトレイルランナーが三条の湯方面に向かっていきます。いくつか小さな橋を渡り、崩落箇所の工事現場を通過し、林道の始点を10時過ぎに通過しますが、その後も同じような道がしばらく続きます。なかなかゴール地点が見えてこないので、時計を見ながら急ぎ足になります。
後山林道へ林道から見た紅葉1林道から見た紅葉2
後山林道へ林道から見た紅葉1林道から見た紅葉2
林道から見た紅葉3林道から見た紅葉4後山林道の始点
林道から見た紅葉3林道から見た紅葉4後山林道の始点

そして、ようやくお祭の登山口に到着すると、すぐに近くのバス停に向かいます。なんとか間に合ってほっとしながらバス停の時刻表を見ると、なんと10月1日から運行スケジュールが改訂されていて、予定していたバスがなくなっています。次のバスまでは2時間近く待たなくてはなりません。この先にある鴨沢西のバス停なら11:20発のバスがありそうなので青梅街道を奥多摩駅方面に歩くことにします。ところが、やはりスケジュール改訂のためにこの便もなくなっています。このバス停には自販機はおろかベンチもないので、さらに先の鴨沢のバス停まで歩くことにします。結局、今回のスタート地点がゴール地点となりました。
お祭の登山口お祭荘の前のバス停鴨沢にゴール
お祭の登山口お祭荘の前のバス停鴨沢にゴール

 ● 行程[1日目] 9.4km
鴨沢(7:37)-小袖乗越駐車場(8:07)-標高1,150m地点(9:07)-堂所(9:25)-七ッ石小屋下(10:02)-七ツ石小屋(10:11)-ブナ坂(10:43)-奥多摩小屋(11:13)
[2日目] 18.1km
奥多摩小屋(6:01)-雲取山(6:49)-三条ダルミ(7:20)-三条の湯(8:39)-後山林道終点(9:00)-後山林道始点(10:12)-お祭(10:36)-鴨沢(11:09)
 ● 最大標高差1467m
 ● 獲得標高上り 1579m/下り 1569m
 ● 装備ツェルト泊装備大型ザック/ザックカバー/サブザック/寝袋/シュラフカバー/寝袋インナーシーツ/空気枕/1人用ツェルト+ペグ類一式/グランドシート/厚手銀マット/エアパッド90cm/アルミ製エマージェンシーシート/ヘッドライト+予備電池/ハンドライト/水筒(2L+1L)/ペットボトル用ハイドレーションチューブ/トレッキングポール/地図+マップケース/デジカメ/歯磨きセット/耳栓/ティッシュ/除菌ティッシュ/手拭い/ビニール手袋/マスク/救急絆セット/レジ袋各種/コンタクトレンズ/手鏡/目薬/日焼け止めクリーム/食料(アルファ米3種、チョコレート4枚)
 ● 衣類トレッキングパンツ/靴下×4/ハット/キャップ/ヒートテックタイツ×2/手袋各種/ネックウォーマー/バンダナ/ウインドブレーカー上下/長袖Tシャツ×2/リストバンド/フリースジャケット
 ●費用JR交通費 1,836円 + 西東京バス交通費 1,260円 + テント場 500円= 3,596円
 ● 成果と課題(1) 大型ザックはパッキングが楽。ただし山専用のものでないので疲労度が増したかもしれない。
(2) ツェルトは強風にも耐えて、期待以上に防寒機能があった。通気がよいせいか、結露もほとんどしなかった。
(3) モンベルのバロウバッグ #2は保温性十分。今回は11月上旬にしては気温が高めだったのも幸いしたかもしれない。
(4) 歩き始めから下山して帰宅するまでに食べたものはフリーズドライのご飯1食のみ。それでもエネルギー切れの自覚症状はなかった。ただし、体重が3.75kg減っていた。
(5) 2日間の天気予報は事前に何度もチェックしていたが、風速までは確認していなかった。今後はそれも確認するようにしたい。
(6) 古いバス時刻表を使っていたので、最後に予定が少し狂ってしまった。最新のものをウェブで確認する必要あり。
(7) 山小屋のトイレ対策でマスクを持って行ったが、奥多摩小屋の場合はもっと密閉性の高いものが必要だった。

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登山ルートの概念図で山行計画を

これまで東京近郊のいくつかの低山に出かけ、同じ山にも何度か登ってきました。すると、行って帰ってきただけでは、記憶がごっちゃになってしまいます。特に、トレイルランニングのときと、ゆっくり歩いたときではずいぶん印象が違います。そのため、備忘録代わりにこのブログを始めました。おかげで一度通ったことのある道なのに、「おや、ここはどことなく見覚えがあるけど…」などと思うことはなくなりました。そうしているうちに、日帰りできる近場の山々、特に奥多摩ではたいていのルートを使い切り、目新しさがなくなってしまいました。
同じ山でも季節や時間、登り方(ソロ、グループ、トレイルラン、テント泊など)によって違う楽しみ方ができると思いますが、まだ通ったことのないルートがあれば、なるべくその新しいルートを歩いてみたいものです。そんなときの新ルート探しに便利なのが、山小屋のホームページや現地の警察などが用意している登山計画書に掲載されている「登山ルート概念図」です。一度通ったルートを塗りつぶしていけば、まだ歩いていないルートが一目瞭然となります。また、登山口から近い鉄道駅やバス停の場所も載っていたりするので、「今度はこっちの登山口から登ってみよう」とか、「このルートとこのルートはつながるかもしれない」などと検討することができます。
北アルプス北部
● 北アルプス北部 (北アルプス北部地区山岳遭難防止対策協会・長野県大町警察署 登山者カードより)

そこで、自分でも今までによく歩いた山域を中心に、登山ルートの概念図を作ってみることにしました。


奥多摩・高尾 山岳図
● 奥多摩・高尾 山岳図


丹沢山系 山岳図
● 丹沢山系 山岳図


秩父 山岳図
● 秩父 山岳図


甲斐・南アルプス・富士 山岳図
● 甲斐・南アルプス・富士 山岳図


今後は、八ヶ岳周辺や北アルプス中央部などについても、歩いたルートが増えたら同じような図を作ろうと思います。

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