FC2ブログ

アウトドア日和

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

PageTop

山の上で『アルピニズムと死』を読む

山の上で『アルピニズムと死』を読む

11月に入ったばかりの三連休、不順な天気の予報が直前になって晴れ模様に変わり、あわてて実行したのが雲取山へのテント泊山行です。
今回はトレイルランニングではなく、基本に帰って普通の山登りとなります。登りのルートは定番の鴨沢のバス停からのスタートですが、下山ルートは今まで通ったことのない三条の湯経由にします。テント場は、石尾根上にあって開放感のある奥多摩小屋に決めました。この時期だと昼夜の寒暖差が大きいので装備の選択は微妙ですが、軽量化のためにテントはアライの1人用ツェルト「スーパーライト・ツェルト1」を使います。その代わり、シュラフは冬期の2,000m級の山に対応したモンベルのスーパースパイラル バロウバッグ #2(最低使用可能温度-15℃)にゴアテックスのシュラフカバー、コットンのインナーシーツを加えて夜間の冷え込みに備えます。これで寒ければアルミのエマージェンシーシートも併用するつもりです。
問題は、シュラフがダウンではなく化繊なので重さも容積も増えてしまうことです。厚手の銀マットも、かなり嵩張ります。冬のテント泊装備を運べるサイズの山用ザックは持っていないので、カヌー運搬用の大型ザック(80リットルくらい?)で代用することにします。


[1日目] 鴨沢~奥多摩小屋テント場

早朝、都内からの始発電車で出発し、奥多摩駅前のバス停で7時発のバスに乗り込みます。最初は数名だった乗客は、その後に到着した電車から降りてきたハイカーたちで座席はすぐに埋まり、6~7名は立ったままでバスが出発します。やはり、みな考えていることは同じようで、予想外に好天の連休になったので、ここぞとばかりに出かけてきたのでしょう。
今回の山行で背負うザックの重さは9.35kg(うち寝袋は1.5kg)で、テント泊としては軽量なほうかと思いますが、普段トレランで背負っているザックの倍以上あります。また本来はカヌーを運ぶためのザックは、ウェストベルトとチェストベルトが付いているものの、あくまで短距離の運搬用なのでバランスが今ひとつです。そんなわけで、鴨沢のバス停から小袖乗越の登山口までは足馴らしのつもりでのんびりと歩きます。
山道に入ると、日帰りか山小屋泊まりの軽装のハイカーは足取りも軽く先行していきますが、同じテント泊のハイカーとはそうペースが変わりません。気温は意外に高めなので、ウインドブレーカーは早めに脱いで、上は長袖Tシャツ1枚になりますが、それでも汗が全身から吹き出してきます。今日の目的地の奥多摩小屋までのほぼ半分のところにある堂所はスタートから1時間50分ほどで通過します。ここまでの標準コースタイムは2時間5分なので、悪いペースではありません。先行していた軽装のハイカーの何人かは途中で休んでいたりするので、先に行かせてもらいます。
最初の分岐ではブナ坂へ向かう巻き道ではなく、七ツ石小屋へ向かいます。小屋では数分休んだだけで七ツ石山へ向かうつもりでしたが、うっかりと巻き道へ降りてしまいます。体力を温存できたと考え直して、そのまま先に進みます。
鴨沢バス停をスタートテント泊装備のハイカー石尾根を進む
鴨沢バス停をスタートテント泊装備のハイカー石尾根を進む

朝には日差しがあったものの、次第に空に雲が広がってきます。今歩いている石尾根から南西の方向に見える富士山の頂上付近にも笠雲がかかっています。ちょっとした登りに差し掛かったとき、大学のワンダーフォーゲル部だというグループに追いつきます。みな大きなザックを背負っているので、下山するハイカーからは「今日は大宴会だね」と声をかけられています。
ようやく五十人平のテント場に到着すると、まだテントは数えるほどしか張られていません。さっそく奥多摩小屋に行き幕営料の500円を支払うと、適当な設営場所を探します。
笠雲のかかった富士山大学のワンダーフォーゲル部奥多摩小屋で手続き
笠雲のかかった富士山大学のワンダーフォーゲル部奥多摩小屋で手続き

雨が降るとの天気予報はなかったものの、心配なのは稜線上を吹き抜ける風です。自立式ではないツェルトはペグが命なので、できるだけ木々の間のペグが深く刺さりそうな場所を選びます。本来なら稜線から一段低いところが理想的なのですが、そうした安全なところはすでにテントで埋まっています。念のため、打ち込んだペグの上に石を置き、グランドシートをツェルトの裾に重ねてその上にできるだけ大きい石を置いておきます。地面はわずかに傾斜があるものの、気になるほどではありません。
次に、近くの水場へ降りていき、2リットルほどの水を調達してきます。朝から何も食べていなかったので、アルファ米のドライカレーに水を入れ、出来上がりまで1時間ほど待つことにします。今回は軽量化のためにストーブやコッヘルを持参しなかったので、温かいものは食べられません。
ツェルトを設営林の中のツェルトアルファ米の食事
ツェルトを設営林の中のツェルトアルファ米の食事

食事が済んでも時間はまだ午後1時を過ぎたところですが、この日は雲取山の頂上には登らないので何もすることがありません。こんな場合に備えて持参してきた山野井泰史著『アルピニズムと死-僕が登り続けてこられた理由』をツェルトの中で読むことにします。内容は著者の山歴の回想録のような感じで、最後のまとめに「自分が死ななかったのは恐怖心が強く、自分の能力をよく把握していたから」と語っています。
そうこうしているうちに周囲にテントが増えてきて、稜線上のカラマツ林には申し合わせたように緑と黄色のテントが並びます。ここのテント場は広い登山道を挟むように設けられているため、一見するとテントの展示場のようになります。ツェルトの中に寝ころんでいると、ここを通過するハイカーたちのコメントがいろいろと聞こえてきます。1つだけしかないツェルトが珍しいのか、「あっ、ツェルトだ。これなら君にも背負えるよ…でも設営が面倒だけどね--あら、ストックで立っているのね」というアベックらしい声。「これテントじゃなくツェルト、簡易テントだよ--知ってるよ。とっても軽いんでしょ」という親子らしい声などなど。そのうち、いつの間にか眠ってしまったらしく、目をさますと外は薄暗くなっています。さっそく用意してきたランタン(ハンディライトの先端に白いペットボトルを装着したもの)を灯すと、読書を続けるのにちょうどよい明るさです。
山で山の本を読む次々に設営されるテント自作のランタン
山で山の本を読む次々に設営されるテント自作のランタン

天気図 (2014.11.3 3:00 a.m.)しかし、夜が更けるにしたがって風が強くなってきて、読書どころではなくなります。時折りジェット機が上空を通過するような轟音とともに、周囲の木々が激しく揺れる音、葉の付いた小枝が落ちてきてツェルトに当たる音が聞こえます。ちょっとうるさいので、山行にいつも持参している耳栓を使います(本来は山小屋でのイビキ対策用)。また、強風を受けたツェルトがバタバタという音を立て、布地が体を包んでいる寝袋に押しつけられます。いつペグが飛んで、あるいはストックが倒れてしまうか心配になるくらいで、何度か手探りでストックの固定具合を調べます。風の強さも一定ではなく、強・弱・弱・弱というリズムが次第に、強・弱・弱・強・強・強というリズムになったりもします。これはテント泊ではなく、まるでビバークだなと思っているとき、ふとツェルトの生地越しに何かの明かりが灯っているのに気づきます。首だけ出して空を見上げると明るい月が出ていて、澄んだ夜空にはオリオン座も確認できます。幸い、気温はそれほど低くないようで、寝袋は十分にその性能を発揮してくれています。風の攻撃で朝まで眠れないことを覚悟し、体だけ休めればよいと思って再び横になったら、いつの間にか眠ってしまい短い夢も見たようです。


[2日目] 奥多摩小屋テント場~三条の湯~鴨沢

まだ暗いうちに意識がはっきりしてくると、この日の予定を考えます。強風が収まらず疲れが取れていなければ、雲取山へは登らず鴨沢に引き返すのも一案です。5時半過ぎに空が明るくなり、外に出て体を伸ばしてみるとそれほど疲れは感じず、富士山もはっきり見えて前日よりも天気がよさそうです。何よりも風がほぼ収まってくれています。大きさに余裕のあるザックに装備を適当に詰め込むと、予定通りに雲取山へ向かうことにします。小雲取山への登りの途中でカラマツ林越しに太陽が雲の上に顔を出します。雲取山に近づくと、ご来光を見てきたと思われるハイカーと次々とすれ違います。
早朝の富士山テント場を撤収雲取山の頂上付近
早朝の富士山テント場を撤収雲取山の頂上付近

雲取山では避難小屋近くのトイレを利用しただけで、すぐに三条ダルミへ向かう急坂を下ります。ここから三条の湯方面へのルートは下り基調で、東南に開けた日当たりのよい道がしばらく続きます。やがて前方に同じく下山中のハイカーが見えてきて間もなく追いつき、道を譲ってもらいます。また、8時を過ぎたあたりから、下から登ってくるハイカーの姿が増えてきて、何度か道を譲ります。
高度を下げるにしたがって紅葉も再び鮮やかになり、三条の湯の周辺は今が一番の見頃ではないかと思われます。三条の湯の施設前を8時半過ぎに通過。日帰り入浴は10時からとウェブページに書いてあったので休憩はあきらめ、下山を続けます。ここのキャンプ場はそれほど広くはないようですが、渓流と木々に囲まれていい雰囲気です。谷間にあるので、風の影響もたぶん少ないでしょう。
快適な三条の湯ルート下山中のハイカー三条の湯を通過
快適な三条の湯ルート下山中のハイカー三条の湯を通過

三条の湯から下山道として使う後山林道の入口には、狭いながらよく整備されている道を20分ほど歩いて到着します。時間はちょうど9時で、ここから麓のバス停まで普通に歩いて2時間かかるということなので、急ぎ足ならばお祭バス停を10:48に出る奥多摩駅行きのバスに間に合うかもしれません。
後山林道は後山川に沿って10kmほど続いていて、今が紅葉の最盛期のようです。前後に人影はまったくないので、この風景を独り占めにできるなんてずいぶん贅沢だなと思いながら歩いていると、女性の二人連れのハイカーとすれ違います。その後もテント泊装備のソロハイカーや軽装のトレイルランナーが三条の湯方面に向かっていきます。いくつか小さな橋を渡り、崩落箇所の工事現場を通過し、林道の始点を10時過ぎに通過しますが、その後も同じような道がしばらく続きます。なかなかゴール地点が見えてこないので、時計を見ながら急ぎ足になります。
後山林道へ林道から見た紅葉1林道から見た紅葉2
後山林道へ林道から見た紅葉1林道から見た紅葉2
林道から見た紅葉3林道から見た紅葉4後山林道の始点
林道から見た紅葉3林道から見た紅葉4後山林道の始点

そして、ようやくお祭の登山口に到着すると、すぐに近くのバス停に向かいます。なんとか間に合ってほっとしながらバス停の時刻表を見ると、なんと10月1日から運行スケジュールが改訂されていて、予定していたバスがなくなっています。次のバスまでは2時間近く待たなくてはなりません。この先にある鴨沢西のバス停なら11:20発のバスがありそうなので青梅街道を奥多摩駅方面に歩くことにします。ところが、やはりスケジュール改訂のためにこの便もなくなっています。このバス停には自販機はおろかベンチもないので、さらに先の鴨沢のバス停まで歩くことにします。結局、今回のスタート地点がゴール地点となりました。
お祭の登山口お祭荘の前のバス停鴨沢にゴール
お祭の登山口お祭荘の前のバス停鴨沢にゴール

 ● 行程[1日目] 9.4km
鴨沢(7:37)-小袖乗越駐車場(8:07)-標高1,150m地点(9:07)-堂所(9:25)-七ッ石小屋下(10:02)-七ツ石小屋(10:11)-ブナ坂(10:43)-奥多摩小屋(11:13)
[2日目] 18.1km
奥多摩小屋(6:01)-雲取山(6:49)-三条ダルミ(7:20)-三条の湯(8:39)-後山林道終点(9:00)-後山林道始点(10:12)-お祭(10:36)-鴨沢(11:09)
 ● 最大標高差1467m
 ● 獲得標高上り 1579m/下り 1569m
 ● 装備ツェルト泊装備大型ザック/ザックカバー/サブザック/寝袋/シュラフカバー/寝袋インナーシーツ/空気枕/1人用ツェルト+ペグ類一式/グランドシート/厚手銀マット/エアパッド90cm/アルミ製エマージェンシーシート/ヘッドライト+予備電池/ハンドライト/水筒(2L+1L)/ペットボトル用ハイドレーションチューブ/トレッキングポール/地図+マップケース/デジカメ/歯磨きセット/耳栓/ティッシュ/除菌ティッシュ/手拭い/ビニール手袋/マスク/救急絆セット/レジ袋各種/コンタクトレンズ/手鏡/目薬/日焼け止めクリーム/食料(アルファ米3種、チョコレート4枚)
 ● 衣類トレッキングパンツ/靴下×4/ハット/キャップ/ヒートテックタイツ×2/手袋各種/ネックウォーマー/バンダナ/ウインドブレーカー上下/長袖Tシャツ×2/リストバンド/フリースジャケット
 ●費用JR交通費 1,836円 + 西東京バス交通費 1,260円 + テント場 500円= 3,596円
 ● 成果と課題(1) 大型ザックはパッキングが楽。ただし山専用のものでないので疲労度が増したかもしれない。
(2) ツェルトは強風にも耐えて、期待以上に防寒機能があった。通気がよいせいか、結露もほとんどしなかった。
(3) モンベルのバロウバッグ #2は保温性十分。今回は11月上旬にしては気温が高めだったのも幸いしたかもしれない。
(4) 歩き始めから下山して帰宅するまでに食べたものはフリーズドライのご飯1食のみ。それでもエネルギー切れの自覚症状はなかった。ただし、体重が3.75kg減っていた。
(5) 2日間の天気予報は事前に何度もチェックしていたが、風速までは確認していなかった。今後はそれも確認するようにしたい。
(6) 古いバス時刻表を使っていたので、最後に予定が少し狂ってしまった。最新のものをウェブで確認する必要あり。
(7) 山小屋のトイレ対策でマスクを持って行ったが、奥多摩小屋の場合はもっと密閉性の高いものが必要だった。

スポンサーサイト

PageTop

コメント


管理者にだけ表示を許可する
 

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。